存命ならば母も父も七十代後半なのか。ふと気付いて脱力する。平均寿命って何歳だっけ?とにかくもう寿命を迎える年齢なのか。七十代後半の母と父なんて全く想像がつかない。彼らは若いまま止まっている。若いころの写真を使って特殊メイクのような加工で老いさせて見てみたい気もするが、まぁやらないだろう。わたしはやっと解放された。何から?うまく説明できないがもうわたしは許された、と感じる。もう両親が亡くなってもおかしくない年齢に辿り着いてホッとしている。
親戚とはまったく交流がない。最後に会ったのは20年近く前だ。誰が生きてて誰がすでに亡くなったか知らない。最近ある一人が亡くなったらしいと知ったが詳細は分からない。そのうち会えるだろうと思っていた人だから、びっくりした。もう遅い。永遠に会えない。
それを知った時に一瞬、なんで知らせてくれなかったのだろう、と憤った。しかしすぐに気付いて自分を諫めた。まず当人がもうすぐこの世ともお別れだからあの子(わたし)に会っておきたい、などと思うか?会いたいから来てと連絡などするか?死因が分からないから何とも分からないけど、近親者がもう長くないからと呼び寄せるせめてもの対象にさえわたしは入っていなかったということだ。常から交流のなかった者同志が最後に会ってお別れするなど現実的ではないことだと気づいた。
何を根拠にまたそのうち会える、などと思うのだろう?
いつか会える、はもう無い。
あの世で会える、も無い。
自分の幼いころを知る人に勇気を出して連絡してみようか。
そう思いかけたが、やめた。今からまた関係を築くなど、面倒だ。