少し前まで、これは弁当と水筒というものだった。
いま「忘れ物」という名前に変わった。
これは食べ物が入った器とお茶の入った筒だが、では、弁当と水筒ではなくなるのか?なんと、そうだ。驚くべきことにそうなのだ。ここにある以上、これは弁当と水筒ではなくなるのだ。弁当とは基本的に出先で主に昼食として食べるものであり、水筒も同じくだ。ほんの一瞬で、物体を別のものに変化させるなんて・・!「忘れ物」とはなんという物理を越えた暴力的能力を持っているのだ。
末っ子は忘れん坊キングだ。キングというのは「懲りない、学ばない」という意味でだ。「なんでおまえ、置きっぱなしなのに気付かないんだ。毎日のことなのに(※)」と主人が詰(なじ)る。あのね、そんなことでは本物の忘れ物のキングにはなれない。気付いていたら忘れ物にはならないですよ。
ところでこの※がポインツだ。毎日のこと、そして何年もやっていることなのに、忘れる。これこそが忘れ物プロだ。忘れん暴将軍だ。
あぁ、、ここに有ってはならないものが、ある。しばし不思議な気持ちで眺める。・・ハッ!こんなことをしているヒマはない。わたしは会社に行かねば・・!さぁどうするかな。この容器と筒になり下がった物体を正常な姿に再転化せねばなるまい。
届 け る 。
コレを学校に届けることでしか、それは実現しない。
結局どうしたかというと...
大学生の長男がクルマで弟の中学校に届けてくれることになった。幸い大学は遅い時間から始まるというので。助かった。
しかしこうしてなんとかしてあげてしまうから、末猿は懲りない学ばない(# ̄З ̄)。
・・なんだけど、末っ子ってのはのんびりで、自由で。可愛くてなぁ・・
こうして長男の時間とガソリン代を費やし、弁当と水筒は然るべき存在に戻ることができた。この日の末っ子の弁当はコストの高いランチとなった。