遅ればせながら、これは書いておかないと、ということで。
梯 郁太郎さんが亡くなりました。
一報を聞いたときは・・実はエイプリルフールだったので・・・
悪い冗談ならいいと思った・・でも本当でした。
そしてついにこの日が来た、って思いました。
ワタシがローランドに入社したのは1993年です。梯さんは社長でいらっしゃいました。
面接試験では、梯社長筆頭に役員さんズラっと。質問された内容も覚えています。
印象的だったのは「愛読している雑誌は?」との質問。
ワタシは「キーボードマガジンです」と答えました(ほんとにそうだったので)。
梯さんはクシャッと笑顔になり「あれはリットーだったね」とおっしゃいました。
4月に入社してからもいろいろ目をかけていただきました。
ワタシは工場見学のお客様の案内とデモ演奏をする仕事をしていましたが、
いろいろアドバイスもくださいました。
そしてハモンドオルガンのレコードをたくさん、たくさん貸してくださいました。
当時、せっせとカセットテープに落としては、梯さんのおっしゃることを解りたくて、
必死で聴いたなぁ~
あの数年間。楽器愛好家にとって雲の上のような存在の梯さんと、しょっちゅうお話しする機会をいただいたなんて夢のような貴重な時間だったと思います。
その後、ワタシは別の部門に異動になったのでめったにお目にかかることもなくなり、本当に雲の上のような存在になってしまいました。
最後ローランドを離れてしまわれましたが、本当に亡くなる前日まで音楽に関わる製品の仕事をされていたそうです。
梯さんは偉大すぎて、ワタシが何か申し上げるのは恐れ多いのですが・・
一つだけ・・
ローランドという会社を設立し、育て、継続してくださってありがとうございました。
新しい楽器や技術を開発したとか音楽界のスタンダード作ったとか、技術者としていろいろ語られますが、ワタシはやっぱり会社を作り成功させ成長させた創業者、企業家、経営者であったことがいちばんの偉業だと思うのです。
そういえば学生のころ、就職とは関係なく「企業研究」としてローランドを分析したことがあった。梯さんという偉大な方が社長をしている、ということもそのとき知りました。
その後、梯さんの経営者としての講演会に参加したりして、ますます興味を持ちました。
音楽や楽器が好きだったのはもちろんですがローランドを受けようと思ったのは梯さんの存在に惹かれたのもあります。
22歳で就職して・・
梯さんが社長の頃の会社は勢いや活気があって楽しかった。
今は時代や世代がすっかり変わってしまったけれど・・
20代の頃を梯さんとこの会社で過ごせたことは誇りです。
梯さん、ありがとうございました。お疲れさまでした。
ご冥福を心からお祈り申し上げます。